「身に纏う標本」は、挫折から生まれた
何を見ても、どこに行っても、
何も感じない
割れてしまったガラスや、“海の宝石”と呼ばれるシーグラス。
一度役目を終えたガラスに興味を持ったのは、自身の挫折がきっかけでした。
高校時代から作家活動を開始し、当時は主に“本物の植物”を使用したレジンアクセサリーの製作をしていました。大学卒業後はものづくりに携わりたくて、デザインや広告を扱う仕事につき、忙しい日々の中で仕事へのやりがいを感じていました。
仕事に奔走する中で、いつの間にかものづくりが出来なくなっている自分に気付きました。それまでは見るもの全てからインスピレーションを感じ、自然とアイデアが湧き出て、常に頭の中がワクワクで溢れていたのに、何を見ても、どこに行っても、何も感じなくなってしまっていたんです。
欠けてしまったもの
壊れてしまったもの
その後、パニック発作や不安障害を煩い、5年勤めた会社を退職しました。幼少期から抱えていた原因不明の難病「線維筋痛症」の症状も重なり通常生活が困難になったことで「自分はダメになってしまった」と自信を失いました。
長い時間をかけて、ゆっくりと療養期間を過ごすうち、止まっていた感情が少しずつ甦り、電車やエレベーターにも1人で乗れるように。そのリハビリの一環として、休止していた作家活動を再開することにしました。
「自分にしか表現出来ないものは何か」と考える中で、一度役目を終えたガラスと植物、つまり「欠けてしまったもの・壊れてしまったもの」に興味を持ちました。
割れてしまっても、
何度でも美しく生まれ変われる
型を使わず、一点ずつ手作業で。個々が本来持つ歪な形をなるべく残したまま装飾具に仕立て直すことで、「自分は欠落している、粉々に砕けてしまった」そんなふうに思ってしまう誰かの心にそっと寄り添うことが出来たなら。
人もモノも繊細だから、「余白」を持つことが大切だと思うんです。割れてしまうまで頑張りすぎないこと。もし割れてしまっても、何度でも美しく生まれ変われるということ。そんな思いを届けたくて、《身に纏う標本》は生まれました。
あたたかくて優しい
「余白」のあるアクセサリー
形の違うもの同士が重なり合い、
そこに生まれる「余白」を愛すること。
その歪さが、私たちの心を豊かにします。
今、これを読んでくれている
たったひとりの、愛しいあなたへ。
心を込めて。
Designer / Creator
Natsuki
「身に纏う標本」をつくる人
■平日働く主婦、ときどき作家
■難病「線維筋痛症」と共に生きる繊細さん
■好きなもの:ピクニック、甘いもの、透明なもの
神奈川県横浜市出身。高校時代から“本物の植物”を使用したアクセサリー製作をはじめ、インスタレーションアート、絵本挿絵のボランティアなどの作家活動を開始。首都圏を中心にハンドメイドイベント出展、合同展参加、オーダーメイドアクセサリーの受注販売、ワークショップ開催などを経験。
大学卒業後、SPエージェンシーの営業事務としてデザインや広告を扱う仕事につく。現在はフリーランスとして、平日は在宅で仕事を請け負う傍ら、首都圏のハンドメイドイベントを中心に、ゆるく穏やかに作家活動を続けている。